【おすすめ紹介】 心の健康とは
小倉清(2019)子どものこころの世界
あなたのための児童精神科医の臨床ノート
遠見書房
この本は1984年(今から42年前!)に書かれた本を底本に、改変して書かれたものです。子どものこころの成長についてコンパクトにわかりやすく書かれていますので、こころの発達について大枠を知りたい方に一読をお勧めします。
医師は病気の専門家であるかもしれないけれど、健康の専門家ではないかもしれないと思うことがしばしばあります。
今日は、「第1章心の健康とは」から、心の健康についてわかりやすく書かれていると思いましたので、皆さんにご紹介したいと思います。
心の健康度合いの物差しになるものとして5つが挙げられています。
①不安のコントロール
②怒りのコントロール
③変化への対処
④人に与えるということ
⑤現実をみつめること
完璧にこれができている人は大人であってもいないでしょうし、少しでもそれに近づけるように努力し続けることが、人生をまっとうするために大切なのだと思います。
ここでは、これらのスキルを上げていくために、ボディナミックのどの知識を活用できそうかを挙げてみます。
①不安のコントロール
②怒りのコントロール
不安があるからこそ、不安にならなくても済むように努力をして物事を達成できたり、危険を回避することができます。
怒りがあるからこそ、自分の境界線を示し、自分を守ることができます。
しかし、こういったいわゆる”ネガティブな”感情を感じることは、身体的に不快を感じるため、多くの人が感じることを避けようとします。
とはいえ、感じることを避け切ることはできません。
解離することを選んだとしても、いずれは、切り離している感情があるから気づいてよ、というサインが身体から出てくるでしょう。
私たちは、子どものときから指しゃぶりをしたり、遊びに没頭したり、空想の世界に入り込んだり、自分なりの対処法を見つけていきます。
子どもを不安にさせてはいけないといって、ストレスや負荷を取り除こうとする大人もいます。
そうすると、自分で不安を対処する試行錯誤の機会を奪うことになります。
大人の関わりもバランス感覚が必要です。
逆に、怒りを何度も何度も反芻することも、健康的なあり方とは言えません。
感じきって手放すことが大切です。
ボディナミックの観点からは、
情動のエネルギーをどのように抱えるかというエネルギーマネージメントと呼ばれる自我機能が関連しています。
また、手放すことに関しては、2〜4歳の段階で発達する意志の段階が関連しています。
③変化への対応
私たちは、変わらないこと、同じであること、に安心を感じる傾向があります。
だから、新しい物事に会い対する時には、程度の差はあれ、恐れを感じます。
この世のすべてのものは移り変わるという真理を知り、受け入れられる度合いが大きいほど、変化に対して柔軟に対応する必要性が理解できます。
理解できると、対応しようという努力ができます。
逆に、安心していたいからこそ物事は変化しないでいてほしい、物事が変化することを受け入れたくない、という思いが強いと、かえって苦しみは続いてしまいます。
ボディナミックの観点からは、
異なる価値・規範に出会ったときにどのような姿勢をとるか(同化 適応 拒絶)調整する、ポジショニング
恐れを抱えるエネルギーマネージメント
新しい一歩を踏み出すためにのセルフアサーションなどの自我機能が関連しています。
④人に与えるということ
「利他」は1歳半ごろから現れる資質だと言われています。私たちは本来利他的な生き物なのです。しかし、「利他的であること」を過剰に強制されると、「利他的」な振る舞いをしないと自分は受け入れてもらえないという認識となり、苦しみが増えます。大切なのは、「自利」と「利他」のバランスが取れるようになることです。
また、すべてのものがつながり合って存在しているということを忘れて、地球上で人間だけが優れた存在であると勘違いしたり、自分だけが幸せになればよいと考えたりする人も多くいます。ほかの生き物や他者の幸せを願えていないときは、本当の意味での幸せとは呼べないということを知る必要があります。
ボディナミック的な観点で言うと、「自利」ー「利他」に関する学びは、2〜4歳の意志の段階で行われます。
⑤現実を見つめること
この世を生きていると、楽しいことだけでなく、苦しいことも必ず体験します。苦しいことの方が多いかもしれません。そういった苦しさを直視し、直面する勇気やリソースがない時には、さまざまな防衛を使って現実から逃避します。命を守るためには、逃避することが必要な場合もありますが、一旦逃避してエネルギーがある程度溜まったら、苦しさの元がどこからきているのか見定めて、善なる心を育て、そこから行動していくことが重要です。
ボディナミック的な観点で言うと、自我機能のうち、グラウンディングと現実検討、コグニティブスキルが関連していると思います。
地に足がついた感覚であったり、把握する動きを観察することで、気づきが深まると思います。
ボディナミック的子育てに関するワークショップに参加したばかりですし、子どもと一緒に親も成長できるようなプログラムを何か提供できたらいいなと思っております。
