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動画紹介_外傷後ストレスを外傷後成長に変容させる

[2024.01.30]

外傷後ストレスを外傷後成長に変容させる(Turning post-traumatic stress into post-traumatic growth)

2021年3月にBodynamic International ApS のCEOのハーディ・マーカー(Hadi Marcher)が 前CEOのディーテ・マーカー(Ditte Marcher)にインタビューした動画を翻訳しました。

 

 

Ditte Marcherはショックトラウマワークの専門家。紛争地で交渉人として、武装組織との交渉を行ったこともある。

世界10か国以上にBodynamic Foundation Training, Practitioner Trainingを提供した教師。ウクライナで退役軍人を対象にしたPTSDの治療施設の立ち上げにも協力し、成果を上げている。

 

Hadi: 世界中の人を前にわくわくしています。私はHadiで、Bodynamic InternationalのCEOです。右にいるのがDitte Marcherです。彼女はボディナミックの教師で、40年以上世界中で教えています。彼女はPTSDと外傷後成長(PTG)に対するワークの開発に情熱を注いできました。彼女は私の先生で、今は同僚で、大きなインスピレーションを与えてくれています。そして私の母親でもあります。今日はPTSDと外傷後成長(PTG)をテーマに話を聞きたいと思います。これについてはたくさん話してきて、私の個人的な人生にも大きな助けになりましたが、

“外傷後成長(PTG)”とはどのようなことを意味しているのですか。

Ditte:戦争地域で受けた自分自身のPTSDとショックについて、私は私がしたことではありません。フラッシュバックを減らすことができませんでしたし、このことについて話すことで癒すこともできませんでした。とても不思議に思っていたのは、どのようにショックから出られるだろうかということでした。その好奇心から見つけたのは、PTSDに対する意味づけを行う必要があるということです。PTSDには意味があって、他者の役に立っているという意味が私たちには必要です。もう1つは、自分自身の自我(エゴ)を成長させる必要があるということです。外傷後ストレス(PTS)は私たちの日常生活を大きな邪魔になります。

ショックに入るというのは、意識の外に出てしまう状態なので、自我(エゴ)はそれを抱えることができません。私にとっては、自我のスキルを広げて強めることはとても重要でした。

私は身体の自我スキルについて考えていました。どうすれば自分の恐れをもっと抱えられるでしょう。とても強い恐怖を感じたとしてもそれとともに身体にいられるにはどうしたらいいでしょう。激怒に入らないように、怒りを感じられるようになるにはどうしたらいいでしょう。この現実を失わないように、自分のセンターを失わないように、どのようにより良い方法を見つけ出せるでしょう。これらはすべて身体のスキルとつながっています。

 他者とつながりをもち、助けを求めること、自分自身の周りにどのように安全を作り出せることも含まれます。そうやってより良いリソースを育てて、将来起こり得るショックに備えるのです。 

Hadi: 少し戻りますね。あなたが“身体の自我(ボディエゴ)”と言うとき、それはどのようなことを意味しているのでしょう。

Ditte: 私が身体の自我(ボディエゴ)と言うとき、何を意味しているかと言うと、私たちがこの世で最初に持つエゴを言います。私たちは皆共通して身体を持っています。ボディエゴは自分自身の感覚、感情ともにあります。それは自分の動き、筋肉を通じて働きます。(他者、ものなど)あらゆるつながりが始まりますが、それは身体から始まるのです。 私から始まって、何かに手を伸ばしますが、それも身体の動きから始まります。何かとつながりたければ、身体の動きが伴う必要があります。純粋に身体のスキルを練習することが、トラウマからの成長を促します。私たちは私たちに起きたことを癒すことはできません。なぜならもうそれは起きてしまったことですから。私たちは取り除くことはできません。戻ってやり直すこともできません。できるのは、私たちの人生にどのように組み込んでいくかです。それで私たちは成長するのです。

Hadi:これまでもトレーニングでたくさん話を聞いていますが、重要なのは、トラウマを癒すのではなく、トラウマからどのように成長していくかなのですね。

Ditte: 以前もお話ししたように、もし、ショックを受ける、レイプされる、交通事故に遭う、などのショックを受けた時、受ける前と同じ人間になることはできません。ある部分の純真さ(イノセンス)を失うからです。その純真さを取り戻すことはできませんが、人生においてより気づきが増え、それが人生に組み込まれます、出来事以前よりもよりよい人間に成長することができるのです。

Hadi:“私たちがより良くなる”とはどのようなことを指しますか。

Ditte: 私たちがより良くなっていると知ることができる1つの指標としては、恐怖のレベルが下がることが挙げられます。私たちは、恐れを恐れることをやめることができます。また傷つくことを恐れることがなくなります。なぜなら、私たちは純真さ(イノセンス)を失い、そのことを統合したおかげで、傷つくことも含む人生を生きることであるということを受け入れて生きることができるからです。他の人に対して心を開くことができるし、傷つけられるのではないかと恐れることはなくなります。(他者は)自分を認めてくれるだろうか?ではなく、私(Ditte)に信じてもらえるのでもなくて、自分が成長して自分自身を信じることによって、よりしっかり現実に根ざして生きることができるのです。自分を傷つける人も、自分を裏切る人もいるかもしれません。またショックに入るかもしれません。それを避けるために自分のシステムを閉じるのではなく、(自分のシステムを閉じると、それを再度作り出します)もっとハート、センター、スピリット、よりよい現実とのつながりに開かれていきます。

またショックに入ったときに、“なぜ私が?”“どうしてこんなことが起きた?”と考える代わりに、 “どうして私ではないのだ。”と考えることもできます。人生はすべての人に何かを押し付けてくると考えることができるようになります。

Hadi:“自分のシステムを閉じる”とはどのような意味でしょうか。認知的に?身体的に?

Ditte:人はトラウマを受けた時に何かの決断をしているはずだと私は考えています。あまりにも怖いので、“こんなこと二度と起こさせないぞ。” “二度と傷つかないために○○しないぞ。” “○○にいかないぞ。”といったかんじで。そうすると、自分の持っているポテンシャルを閉じてしまうことになるのです。身体のスキルも閉じてしまいます。私たちは手を伸ばさなくなり、コミュニティ、友人から引いてしまいます。自分を孤立させてしまいます。二度と傷つかないように自分自身を守ります。二度と車を運転しない。二度と人と関わらない。なんであれ、ショックトラウマと関連していることに関して。

Hadi:いつ、どこで、外傷後成長(PTG)について関心を持ったのですか。トラウマを癒すのではなく、成長に関心を持ったのか。個人的なレベルで教えてください。

Ditte : 個人的なレベルで外傷後成長に関心を持ったのは、20代のときからです。人権活動家として活動して、トラウマティックな状況に置かれました。多くの友人がPTSDになって多くの助けやサポートを受けていたのにも関わらず、乗り越えるのに時間がかかっていました。私は、恐れが彼らの人生を小さくさせるのを見ていました。その様子を見て、私はそっちの方には行きたくない、彼らのようにはなりたくないと思いました。自分のフラッシュバック、恐れ、トラウマをコミュニティや他の人々にどうすれば役立てることができるだろうか、どのように自分自身のPTSDを提供できるだろうかと考えました。その好奇心は、私のバックバックの中にいくらひどいものが入っていたとしても、それを取り出して、何かを作り出して、人々の癒しに役立てることができました。今や世界中の何百、何千の人が癒されて、無駄にはなりませんでした。私のPTSDは意味があったのです。他者の癒しのつながることで、私も成長できました。PTSDを癒す一番良い方法は他者と一緒にそれを行うことです。

Hadi:素晴らしいですね。クライエントについての例を挙げて頂けますか。癒しではなく成長にフォーカスを当てたケースについて。

Ditte: 多くの例がありますが、私が長年にわたり情熱を注いできた、退役軍人について話しましょう。彼らは長期にわたりPTSDにスタックしています。私たちは彼らとワーキンググループを作り、PTSDの対処法、身体の自我(ボディエゴ)を強めました。それは筋肉トレーニングとは異なります。軍人たちは身体的にはとても訓練されていますが、私たちは、身体への気づき、情動と本能のつながり。他者とコンタクトを持ちながら情動とつながる能力のワークをしました。他者とコンタクトを持ちながら情動とつながると、何が自分を圧倒させていたのか分かり、トラウマから成長できるのです。私がワークした軍人は今や他の多くの軍人とワークしています。私がワークした多くの軍人は“確かに人を殺したけれど、今社会を変えるためにできることがしたい。”と言って、議論をしたり、政治に参入したりとコミュニティの中で活動的になっています。彼らはもう生き延びる必要はなくなったし、より強く、よりよく、より満足できる人生を送るためにトラウマをどのように変容していけるかを学んだのです。

Hadi:素晴らしい。あなたの口角が上がり笑っているのが見えます。あなたのエネルギーを感じます。私の想像では、これまでウクライナで取り組んできたことに対する誇りを感じているように見えます。そこで成長に関して一番誇りを感じたこと、喜びを感じたことについて教えてください。

Ditte:彼らが、前向きに学んで変わろうとしていること、よりよい人間になろうとしていること、よりよい社会になるために役に立とうとしていること、子どもたちのためにより良い世界のために何かを作り出そうとしていることです。私にとっては、ほんの少しでもより良い世界になるために貢献できれば、私は満たされた感じがます。

Hadi:これまで様々な異なった文化の中でワークされてきましたが、異なった文化ではどのようにアプローチしていますか。文化ごとにアプローチを変えていますか。

Ditte:変えています。変える必要があります。彼らがどこにいるのか。彼らが知らないところはどこか、どこで出会えるのか理解する必要があります。それらは彼らの選択なのです。ある文化は個人主義的だし、またある文化は集団主義的です。ある文化は個の強さを育てる必要があるし、またある文化はコミュニティの強さ(連帯)を学んでいく必要があります。PTSDにワークして自我を成長させるには、彼らの規範と価値観を知り、それが自分としては賛同できないものであったとしても、尊重する必要があります。私は、まったく賛同できない規範と価値観を持った多くの人たちともトラウマワークをしてきたことがありますが、それが問題ではないのです。

Hadi:規範と価値観(norms and values)とは何ですか。それが自分の文化とは異なっている場合にどのようにその人たちと出会って尊重していくのですか。例を挙げてください。

Ditte:私は囚人とワークしたことがあります。他者を拷問したことがある人で、PTSDを持っている人、性加害者、極右翼、退役軍人、ギャングメンバーともワークしたことがあります。そういったことはどうでもよいことで、彼らとハートを開いて関わります。彼らが自分自身に着地し、自分自身とつながってもらって、自分自身の人間性を感じるのをサポートするのです。私の体験では、人間性を感じることで、彼らがしがみついていた硬直した何かが自然と変わっていくことがあるのです。人々が自分自身の尊厳を取り戻すことをいかにサポートできるか、が重要なのです。

Hadi:私は想像をしています。いくら人のことを助けたくても、異なる政治的信条や規範や価値観を持っている人と出会うと、自分の筋肉のいくつかが自分のことを挑発してくるように思います。ワークをする前に、エクササイズを行っているのですか。

Ditte:はい。とても挑発された感じになります。私はとても情熱的に人権を擁護する人間なので、反対の考えを持っている人たちに対して、エネルギーが高くなるのを感じます。そして闘争反応が出てきます。自分の対決相手が出てきた感じで関わると、トラウマの再生産になります。でも、すこし引いて、彼らのどこが私たちと同じだろうか、どこで彼らと出会えるか。私は彼らが自分の尊厳を取り戻すことをつながりの中でサポートします。

ウクライナでとても美しい例を経験しました。ものすごく右翼的で、世界の見方が私とまったく異なる退役軍人とワークをしたことがあります。自分自身に言いました。“現実をつかんで自分のセンターを保ち続けよう。そして、たとえ行動や信条は異なっても、その後ろにある私たちと同じところを見よう。”この人とはトレーニングで数年関わりました。その1年後にまた山で別のトレーニングを開いていました。そこに彼がやって来て腕を広げて叫びました。「ディタ、自分はもはやファシストじゃない。平和主義者になった。」そして私に強いハグをしてくれました。ものの見方が変わったのです。自分の尊厳や安全をつながりの中で感じたことで変わったのです。彼は自分の価値観の再定位を行いました。彼は今他の国に行って、同じように右翼の人に自分のたどってきた旅の話をしています。

私にとっては、お互いに押し合うのでなく、出会っていくことにとても深い意味があります。彼は戦争によるPTSDだけでなく幼少期から深いトラウマを負っていましたが、今は彼自身の人生を取り戻して、他の人のために安全と尊厳を作り出しています。このように波のように広がっていくことに、私は深い意味を見出しています。

Hadi:今のお話のようなことを外傷後成長(PTG)と言うのですね。

Ditte:そうです。

Hadi:なぜ外傷の癒しではなく、成長と言うのですか。

Ditte: 私は、トラウマの癒しに伴う成長とは言いますが、癒しにはあまり重きを置いていません。なぜなら、私の想像では、ヒーリングは傷が消えることを意味するからです。私は、その人の傷が消えることはないけれど、傷を使うことによってパーソナリティ、アイデンティティ、安全な場所やコミュニティを強めることができると見ます。それを成長とみなしますが、傷は消えることはありません。これまでたくさんのワークをしてきましたが、私にはまだフラッシュバックが残っています。今はフラッシュバックと関係が作れているので、敵ではなく、友達になっています。

Hadi:友達と言うのは?

Ditte:フラッシュバックのことです。

Hadi: トラウマワークについて尋ねる前に、どのように現実をつかむのですか。どのように準備をするのですか。あなたがずっと指と足指を動かしていたのが見えていました。それは無意識ですか、意図的に動かしていましたか。何か意味はありますか。

Ditte:それは無意識です。今はまったく無意識ですが、それを何年も練習してきたので、私のオートマチックスキルになっています。この現実を失わないように、解離しないように、何年も練習してきました。エネルギーが上がってくるのを感じると、足指と指を動かします。(指の動きで)世界を把握し、(足指の動きで)統合し保つのです。毎日使っている、たくさんの身体的なスキルはオートマチックスキルになっています。身体を通じて姿勢を保つこと、筋肉を通してセンターを失わないこと。だれかが私の後ろにいてくれる感覚に自分を休めることができ一人ではないと感じること。たくさんのトレーニングでボディエゴを鍛え、それが個人の自我、役割の自我、観察する自我の土台になっています。

Hadi:素晴らしいです。ずっと考えてきたことです。以前には聞いたことがないので、今回聞いてみたいと思いますが、4歳~10歳の子ども、ティーンエイジャー、大人に対して、外傷後成長のセラピーはどのように行いますか。アプローチは異なりますか。

Ditte:子どものPTSDに対して、私は子どもに直接ワークをすることはありません。両親にワークをします。子どもがショックにおちいった時両親が必要なことを提供できるようにするためです。子どもは安全を感じること、安全な人を感じる大きな必要があります。両親だけでなく、両親の友人などからも安全を感じ抱えてもらう必要があります。恐れを恐れない人に出会ってもらう必要があります。たいていの両親は子どもの恐れを恐れています。子どもが怖くなると、両親も怖くなってしまうので、両親は子どもを怖くなそうとするのです。「あなたは恐れを感じていてもいいよ。恐れを感じているあなたとともにいるよ。恐れとともにいるよ。」と言ってあげられることが必要です。

若いころ、子どものがん治療を行う病院でボランティアをしたことがあります。ある夜、白血病で死が近づいている7歳の子が言いました。私に手を伸ばして「自分はもうすぐ死ぬことが分かっているけれど、お父さんとお母さんには言わないでね。彼らはそれに対処できないから。」子どもは分かっているのです。私たちは恐れや悲しみを共に感じるプロセスが必要なのです。子どもはショックに入ったときに、その周りにいる養育者はみなサポートが必要です。

夫婦でもそうです。夫がテラー(Terror)ショックに入ったときは、残りの家族はホラー(Horror)に入ることを忘れてはいけません。妻は夫をサポートするように期待されるけれど、妻に対してのサポートがなければ婚姻関係が壊れます。コミュニティの支援が必要なのです。

Hadi:今テラー(Terror)ショックとホラー(Horror)ショックの話が出ましたが、この2つの違いについて説明していただけますか。

Ditte: テラー(Terror) は自分自身が直接体験することです。 例えば、自分が交通事故に遭うことです。ホラー(Horror)は 警察からあなたのお母さんが事故に遭いましたよと連絡が来るというように、間接的に体験するものです。どちらとも、自分の存在に対する脅威にさらわれることです。

Hadi:ある人がテラーショックを受けて、周りの人がホラーショックを受けた時に、その関係性がなぜ壊れてしまうのか、例を挙げて教えていただけますか。

Ditte:多くの人は、配偶者は自分にとって安全な人であってほしい、という人生に対する期待を持っているからです。愛する人や近しい友人が安全な人であるべきだと。しかし、ショックを受けた人と関係が近くなればなるほど、ショックを強く受けるのです。本人をサポートすることを期待されますが、周囲の人も同様にサポートが必要なのです。私はよく話しますが、私たちは全員、安全な人たちが必要なのです。安全な人たちというのは必ずしも愛する人とイコールではありません。

安全な人というのは、あなたの怒り、悲しみなどの情動を恐れず、その情動に出会って、共にいてくれる人のことを指します。 あなたに出会ってくれて、それらを変えようとはしません。関係が近い人ほど、あなたが悲しいと、その人も悲しくなってしまいます。あなたがもっと悲しむとその人は怖くなってきます。その人が恐れを感じなくて済むように、あなたがいい気分でいてほしいと言うようになります。それは良い友人関係でも起きて、壊れてしまうことがあります。とても良い友人であったとしても、あなたをとても愛しているがゆえに圧倒されてしまって、安全な人になれないことがあるのです。私にもとても愛すべき友だちがいましたが、私が怒りを彼らは扱うことができませんでした。

これが私たちの人生が混乱する、間違いの1つです。

もう1つは、ひとりの人が提供できる安全には限りがあります。安全にはたくさんのバリエーションがあります。ある人はとても実際的なところで安全を感じるだろうし、別の人はもっと情緒的なところで安全を感じるかもしれません。ひとりの人がすべての安全を提供してくれると期待することはできません。ひとりの人がショックを受けた人と長く一緒にいることを期待しても、その人も疲弊して、圧倒されてしまいます。

それで、ティーンエイジャーの治療について話しましょう。

ティーンエイジャーの子どもをサポートするためには、安全な人、安全な場所は、両親だけでは不十分だと考えています。その年齢の子どもでは、両親に対して反抗的なこともあるし、良いつながりを持ちながら話すことができる他の場所が必要です。そういう場所を提供できるように両親をサポートする必要があります。子どもがすべてのことを両親に話さなくても、気分を害する必要はありません。

Hadi:すこし戻って3,4歳~10歳の子どもについてお聞きしたいです。ワークするときに、エクササイズをすると思います。私たちが“性格構造”と呼んでいるものを見ていますか。何かエクササイズを行いますか。それとも行わないものはありますか。

Ditte:その子どもを見ます。子どもの年齢、どの発達段階にいるのか、どの防衛を使うことを選んでいるのか。子どもの状況に合わせたエクササイズを作ります。それは子どもによって大きく異なります。

Hadi:エクササイズの例を挙げてください

Ditte:それは大きな問題です。何歳の子どもで、どんな問題を抱えているか、そんな性格構造を持っているかによります。今はここに入っていかない方がいいと思います。

Hadi:では大人に対してはどうですか。

Ditte:大人に対してワークするときに、私が重要だと考えていることは、最初に 外傷後ストレス(PTS)は病気ではないということを理解してもらうことです。それは不健康な状態に置かれた時の人間の健康な反応であるということです。それにスタックして、抜け出せなくなった状態なのです。私は、私たちの中にある大きくて、速くて、賢い場所が、ショックに対応して、ショックから戻ったときに、まったく違う場所で何が起きたか理解しようとするということを意識が理解する必要があると考えています。ショックはサバイバル(生き延びること)に関わることです。ここに座って話しているときは意識、エゴ(自我)がどのように生きるか考えていますが、生き延びると生きるは異なる2つのモードです。もちろん私たちは生きることを学ぶために生き延びなければなりません。多くの人がサバイバルモードに引っかかっているのです。

Hadi:今あなたは、ある人は生き延び(survive)て、ある人は生きている(live)と言いましたが、多くの人が生き延びているとはどのようなことですか。サバイバルモードについて教えてください。

Ditte:多くの人が本能レベルに近いところに生きています。身体でどのように恐れを抱えたらよいかを知らないので、いったん恐れを感じ始めると身体で恐れを抱えられずに、死の恐怖に近いところまで行ってしまいます。他の人が自分にしてくる反応が、死への脅威に感じられてしまうのです。こんな感じで(指を鳴らしている)、身体のシステムの中で警報が鳴り続けたままに生きています。もし○○だったら、と状況をコントロールしようとすることなしに、今この瞬間に存在して、楽しむことが難しくなっています。私たちは、ある種の警報を私たちに押し付けてくる社会に生きています。

Hadi:それはどのようなことですか。

Ditte:生き延びるためには、もっとお金を稼がないといけない、もっと働かないと、もっと勉強しないと、といったようなことです。あなたに喜びをもたらすものはなにか、何に幸せを感じるのか、何があなたの人生を動かそうとするのか、あなたは人生の中でどのように動きたいか、考える代わりに。

Hadi:サバイバルスキルを持っているのは良いことですよね。

Ditte:もちろん。サバイバルスキルを持っているということはとても素晴らしいことです。

Hadi:例えば、80~90%がサバイバルモード、10~20%が生きるモードで生活している人がいるとします。こういった人をどのようにサポートしますか。どのようにバランスを取るのを助けますか。

Ditte:長年行ったことのある、ウクライナの例を挙げましょう。私は戦争後革命が始まる前から行っています。ウクライナという国はサバイバルのムードが強い世代がいます。抑圧、飢えなど。人々にとっては、今何を感じているか、ではなくて、どのようにそれを生き延びていくか、が重要です。

Hadi:ウクライナでは、1930年代にホロコーストが行われ、長いサバイバルの歴史があるのを知っています。

Ditte:その文化を見ていくと、個人個人が情動を抱えて生きる器はそれほど大きくありません。彼らは、情動を抱える代わりに、激怒、闘争などサバイバルモードに入ってしまう傾向があります。ウクライナの議会を見ていると、椅子が飛んだり、お互い殴り合ったり、その名の通り戦っています。しかし、若い世代の人々は、これまでとは違う、よりよいものを求めたい、透明性や広い民主主義の視点を持ちたいと考えています。同時に、過去を振り返って、彼らの祖先の、サバイバル、サバイバル、サバイバルを見て、サバイバルのスキルを学びたければ過去に戻ればよいのです。

退役軍人を対象にしたプログラムでは、私たちがいかによりよく変わっていくためのスキルについても取り上げています。変わりたいという強い動機を持っている若い世代の人たちが、それらに熱心に取り組んでいます。私から見たら、まだまだ先は長いけれども、彼らはよりよく生きるという在り方を学び始めていると思います。彼らは、サバイバルのことを考えることなく、より良い関係を持つために自分を落ち着かせることを学び、お互いに忠誠を誓い、お互いのために立ちあがっています。

Hadi:テラーショックとホラーショックについてお聞きしたいと思います。ボディサイコセラピストとして、テラーショックとホラーショックどちらを扱うのが難しいですか。

Ditte:個人的にいつも言っているのは、テラーショックをくださいと。テラーショックの方がホラーショックより10倍は扱いやすいです。テラーショックの人には、「そう、あなたは生き延びたの!本当に良くやったわ!」と言うことができます。でも、家族をすべて亡くした人に対して「よく生き延びたわ!」ということはできません。役に立ちません。その人「なぜ私は生き延びたのか。その意味は何か。」を考えるでしょう。ホラーショックには悲嘆を乗り越える作業も含まれるからです。サバイバーズギルトが含まれることがあります。複雑で何倍も時間がかかります。私たちはある調査を行ったことがあります。船の事故で亡くなった人について、事故後10年で、ホラーショックを持っている人の方がテラーショックを持っている人よりPTSDに苦しんでいる率が高かったのです。

Hadi:どうしてあなたは、外傷後成長を扱うときに、認知的なセラピーだけでは足りないと信じているのでしょうか。

Ditte:PTSDを扱うには身体を含めるしかありません。なぜなら、ショックトラウマは意識の外で起きるからです。ショック後の状態、すなわち意識に戻ってくるのは、あなたの身体を通してなのです。情動を通して戻ってきます。本能は情動のシステムに着地するのです。それらは制御される必要がありますが、思考が制御することはできません。爬虫類脳はとてもパワフルなので、身体全体に影響を及ぼします。思考は脳のなかだけで行われます。

私たちは、感覚や情動を抱えるために、身体を含める必要があります。身体を含める大切な理由がもう一つあります。あなたはあなたの身体だからです。こういうことはできません。「私は脳で、これが私の体です。」私たちは身体のすべてが自分なのです。この小さい箱(脳)は司令塔ではありません。もし、もし司令塔だと考えると、人間は病気になります。パニック発作などさまざまな種類の反応が起きます。残りの身体の部位が言います。「ここ(脳)だけですべてを決めようとするなんて不可能よ。あなたは心臓を持っています。筋肉を持っています。あなたはお腹を持っています。あなたは神経のフィードバック回路を持っています。もし変化を起こしたかったら、「思考」だけでなく身体のすべてを含めなければなりません。思考は少し遅れて生じるからです。

Hadi:PTSDが着地するには身体が必要だというのはどのようなことですか。身体に着地するということに対して教えてください。

Ditte:PTSDというのはフラッシュバックのことを指しています。今ここの現実、自己の感覚、自分の内側でのここにいる感覚を失っています。過去、現在、未来の感覚も失っています。

それは、少しエゴ(自我)から出ているということです。意識の外に突然出てしまうのです。私が「戻ってくる(coming back)」という言葉を使うときは、自分のエゴに戻ってくることを意味しています。ショックに吹き飛ばされたときは、エゴと解離します。それで少しずつエゴに戻ってくるのです。脳に戻ってくる際には、爬虫類脳、哺乳類脳。辺縁系を通して思考に戻ってきます。身体や情動から思考への旅なのです。

危機において、どのように思考、情動、身体感覚を調和させて、圧倒されないようにするかなのです。再びショック状態に入らないですむように。なぜなら、ショックがPTSDを与えるわけではないからです。ショックが悪いわけではありません。ショックは良いものです。人間はショックには入るものだし、もし人間がショックに入らなければ、我々はここに存在しません。それは良い状態なのです。ショックの後にクライシス(危機)に入るのが問題で、そこで私たちはPTS(外傷後ストレス)を発展させるのです。ショックから危機的な状況に着地する、そこを重要にとらえる必要があります。カギになるところなのです。なぜならPTSDが起きるところだからです。

Hadi:ショックを持っているクライエントと接するとき、コンタクトをどのようにもっていますか。クライエントに目を合わせますか。それとも見ないようにしますか。

Ditte:クライエントがずっとこちらの方を見ない、こちらとつながろうとしない場合、それはそのクライエントが解離しているという徴候になります。その人は解離して、今ここに戻ってきたくないと思っているのです。私たちは群れで生きる生き物です。私たちは共に癒し、成長し、再創造します。そのためは自分以外の他の人間が必要です。トラウマから出るときにも、自分以外の他の人間が必要なのです。あなたの場所に戻ってくる必要があるのです。

アメリカの退役軍人が国に戻ってきても、ホーム(家)に戻れなかったという現象を話したのを聞いたことがあります。関係性が重要だということです。とても極端な在り方から、普通の市民になって行くために。

Hadi:外傷後成長(PTG)をワークするために行えることについて、ボディナミックメソッドの持つユニークさをどのように考えますか。

Ditte:我々の立ち位置として、筋肉が持つ心理的機能を知っていることだと思います。

ボディナミックがもつ哲学に「尊厳と相互のつながり」がありますが、それらをいかに再安定化させるか、どのようにすべてのワークでこの哲学を組み入れて行うかにあると思います。私たちの持っている強みやリソースには、身体の自我を強化する。観察する自我を身体の自我を通してワークすることがあります。これらはユニークだと思います。戻りますが、運動発達、それぞれの筋肉の心理的機能を知っていることが最も素晴らしい強みで、PTSDにワークするときにも用います。それに、私たちのコミュニティ志向性です。尊厳と相互のつながり。

Hadi:筋肉と発達についてもう少し教えてください。なぜそれが最も重要な強みなのか。

Ditte:あなたはすべてなのです。あなたはあなたの身体なのです。あなたは思考と分けることはできない。すべてが身体に所属しているからです。

 

【参加者からの質問】

ホラーショック(Horror shock)とテラーショック(Terror shock)の違いについて教えてください。

Ditte:先に話したように、自分が階段から落ちて腕を骨折したとき、テラーショックを受けます。親友がそこで自分が階段から落ちるのを見ていたとき、彼(彼女)はホラーショックを受けるでしょう。自分自身の身体が直接的に脅威にさらされたのか、間接的に脅威にさらされたのかです。人々は、ホラーショックのほうが傷を大きく受けやすいです。拷問(Torture)でよく用いられています。自分自身を拷問されることよりも、目の前で家族が拷問されるのを見せる方が、ダメージが大きいことを拷問する側は知っているのです。

コンスタントにショックを受けると、お腹が大きくなるのですか。

Ditte:それは聞いたことがありませんが、ひとつ想像があります。コンスタントにストレスを受けていると、警戒システムは腸に大きな影響を与えるでしょう。お腹が張っている感覚がしたりすることがあると思います。ある人はお腹に脂肪がつくでしょう。胸に脂肪がつく人もいて、人によって脂肪がつく場所がいろいろなのは興味深いことですが。

喘息発作はショック体験になり得ますか。身体的な経験によってPTSDになることがありますか。

Ditte:はい。もちろん。ひどい喘息発作でPTSDになることはあり得ます。それは間違いないでしょう。パニック発作が喘息発作を作り出すこともあります。早期トラウマが喘息発作を作り出すこともあります。ただすべてのトラウマが喘息を作るとか、喘息がすべてトラウマだと言うつもりはありません。喘息はアレルギー反応であり、興味深いことに多くの自己免疫疾患がショックとトラウマに関連していることが分かっています。

ボディナミックワークでは、解離した状態、断片化された自己(Fragmented self)にどのようにワークするのですか。

Ditte:私にとってPTSDとは毎回フラッシュバックに陥ることを言います。それは解離した状態です。ショックにおちいったときに起きるのは、我々のエゴ(自我)が壊れてバラバラになることです。自分自身に戻ったときに、より強くて安全な自我にする必要があります。ここから、ボディナミックがより安全な身体の自我を作る、私たちの周りの安全を作りだすのを始めます。それにより、もっと自分自身の個性を感じて、もっと自分の尊厳を感じていきます。

自動車事故に遭い自分は生き残り、他の人が亡くなった場合、テラーショックとホラーショック両方受けたことになるのでしょうか。

Ditte:その通りです。その場合、テラーショックから取り組みましょう。なぜなら、ホラーショックの方が回復に時間がかかるからです。

ショックトラウマを受けた人、発達性トラウマを受けた人に対してボディナミックではどのように治療の動機づけを行うのか。

Ditte:いい質問ですね。まず、興味深いのは、なぜあなたはその人に治療を勧めたいのでしょうか。その意図を知りたいです。私はいつも言っています。傷ついた人の横にいるとき、その人を押すのではなくて、「あなたにとってこの痛みはどのような意味がありますか。○○の理由で、私はとてもそれを痛く感じます」と伝えます。治療に対するもっとも強い動機づけは、「その人がだれかにとって意味がある、その人の痛みが誰かにとって意味がある」と感じた時なのです。

外傷後成長(PTG)へのアプローチは、PTSDと早期の情緒的トラウマによる複雑性PTSDでは異なるのでしょうか。

Ditte:私にとって、複雑性PTSDは、ショックトラウマと発達性トラウマの混合を意味します。混ざり合って複雑になるのです。そういった複雑なもので人が苦しんでいるときに、すぐには成長を目指しません。閉じ込められた箱の中から出られるように、よりよい身体の自我と、観察する自我を育てます。

世界的にCOVID-19が流行して、身体的接触が制限されている中で、どのようにつながりと尊厳を保つことができるのでしょう。パンデミックで活性化されたサバイバルモードをどうしたよいでしょうか。

Ditte:最初に、呼吸をして、グラウンディングして、恐れを吐き出しましょう。テラー(Terror)(本能レベルの恐れ)に入らないように。ズームやスカイプで出会うことができます。たとえ身体的接触は持てなくても、画面の前で向かい合って、ハグするときに使う筋肉を締めることができます。お互いに見つめあって、コネクテッドネスの筋肉を活性化するのです。相手とつながっているような、情動、感覚を感じることができるのです。もちろんハグと同じ効果はありませんが、次善の策だと思います。

他の選択をする人もいます。私の母は違う選択をしました。彼女はコロナにかかりました。彼女は私たちのアパートメントを去ることを拒みました。彼女は80歳です。「つながりがなくなるなら、死んだほうがましだ。」と言いました。私はコロナにかかって、コロナを恐れるよりも、つながりにより価値を置いている人のネットワークにも出会うことができました。

ギリシア、ブラジルも状況が似ています。この危機を乗り越えるために、どのようなリソースが必要でしょうか。

Ditte:恐れに私たちの良さを奪わせないことが重要です。私たちは恐れを恐れることをやめる必要があります。そのために唯一できるのは、呼吸のテクニックを使うことです。呼吸のテクニックはとても良いです。グラウンディングを失わないこと。現実を失わないことも重要です。パターン化したストーリーにはまらないこと。それは現実を把握し、検討することを意味します。そのためにはニュースを聞かないことです。なぜなら、ニュースは現実の残酷な面しか報道ないからです。事実の全体を報道するわけでありません。それは私たちをとても恐れさせます。身体をパタパタ叩く、足で地面をつかむ。様々なやり方で呼吸をすること。息を吸ったら、5秒間止めて、ふーっと吐く。それを3回繰り返します。今何を感じているだろうか、身体の感じを感じて見ましょう。たいていの人がより自分自身にグラウンディングしたと感じるだろう。オリエンティングに関わる首の筋肉を動かしましょう。毎日首を動かすのです。首を固めて1つの方向からしか見ないのではなく、様々な方向から見ることができるように。私たちはオリエンテーションを必要としています。これまでにかつてなく。

ホラーショックに対するアプローチを知りたいです。

Ditte:グリーフ(悲嘆を乗り越えること)を先に行います。それが起きた意味を見つける必要があります。エゴは意味づけを必要とするのです。その人がある種の説明で満足できれば、安全を感じることができます。大切なのは、悲嘆(Grief)がゆっくりと悲しみ(sadness)になって行くことです。悲しみを感じるときには、動きを伴います。手放す(let go)動き、再定位(re-orient)、そのあと前に進んでいく(move on)という動き。前に進むのは、出来事を忘れることではなく、自分に起きたことと共にどのように生きていくか見つけるということです。1年から1年半はかかると思います。

子どもの頃に性的なトラウマを受けてPTSDで苦しんでいる人に対するセラピーについて教えてください。

Ditte:それは、たくさんのPTSD、もしくは発達性トラウマを持っている人か、どのくらい早く虐待が始まったか、どのくらい多く虐待されたか、環境はどうだったかなど、人によって大きく異なります。彼らの世界では、“それが人生だ”というふうに受け取っていることもあります。その場合、子ども時代の現実を破壊することになってしまいます。ですので、アプローチやセラピーはその人の個人史に従い、個別の対応になります。セラピストは、虐待者に対する愛と憎しみ、両方に対してオープンでいる必要があります。

ボディナミックは尊厳をどのように理解しているのでしょう。その特異性について説明してください。

Ditte:私たちは個性(Individuality)をとても小さいころから発達させていきます。個性を発達させながら、自分の価値(Worth)も育てています。私には権利があります。自分は他の人とのつながりにおいて価値があります。私は自分のアイデンティティに誇りを持っています。私はだれかとのつながりで自分が必要とされている感じることができます。尊厳という言葉を、身体的なものとして用いるとするならば、脊柱を上にあがってくる動きです。それは、これが私である、という感覚を与えてくれるのです。ひどいことの1つとしてあるのは、私たちは誰かに辱められた時に、尊厳を失い始めます。自己価値、アイデンティティの感覚を失い始めます。なぜなら、尊厳の感覚は、個性やアイデンティに密接に結びついているからです。

PTSDの治療において、抗うつ薬を使用することについてどのように考えますか。

Ditte:あるケースについては有用だと思います。私は白黒の判断をしないので。抗うつ薬を使用する際には、精神科医と協働して減らせるようにすることが大事だと思います。

日本では、この2月、3月といくつかの地震がありましたが、エクササイズを教えてほしいです。

Ditte:そのニュースを聞きました。皆さんが元気でいることを願っています。10年前に日本でもトレーニングをしたことがありますが、そこでたくさんの地震を経験しました。カリフォルニアもそうです。地面が揺れるのは本当に変な感じです。地面をつかむのに地面が揺れるなんて。センターを保持することです。重要なのは、地震が終わってから、再定位して、再度この地面にグラウンディングして、自分自身のセンターを感じて、この世界での自分の境界線を感じることです。そうやって次の地震に備えます。先月ギリシアでは1日60回小さい地震が起きましたが、その都度再定位して、再度グラウンディングしていました。現実は、人生はある時点で安全だということなのです。これはすべての人にとってそうです。あまりにも怖すぎるために、もし100%の安全を求めるとしたら、決して安全になることはありません。人生ではありとあらゆることが起きることを認識し、少なくとも自分がコントロールできないことに対処するスキルを持っていることが重要です。地震に対しても、自分の反応をコントロールできるといったように。

自分がPTSDを持っているとどのように気づくことができるでしょう。

Ditte:自分ではなく、友人か同僚が先に気づくことがあります。「あなたは何か変な反応をしているように感じるよ。」

1つには、睡眠障害。悪夢。フラッシュバック。おかれた環境における過剰反応(怒りすぎる。悲しみすぎる)。解離して、身体の中にいない。今は何も起きていないのに脅威が迫っている感じがする。これらは、古いPTSDが起きている可能性を示唆します。ほかには、

死んだほうがいい。私は決して○○しない。というときも、過去のショックで何か決断をした可能性があります。こういった決断が自分の中にあるときには、ショックトラウマが外傷後ストレスを作り出していると思います。たくさんの質問ありがとうございました。

Hadi: 最後に、ここでパーソナルな質問をします。私は先天性心疾患を持って生まれてきました。0歳から9歳まで。3回死にかけて、大変な手術を2回受けました。とてもよい家族に恵まれて、全方位から家族のサポートを受けました。私のPTSDと外傷後成長に対して何をしてくれたか教えてくれますか。

Ditte:あなたととともにいて、あなたを悲しみや恐れの中に置き去りにしませんでした。決して嘘はつきませんでした。「ママ、僕は死ぬの?この病気で死ぬことはあるの?」と尋ねてきたとき、「いいえ。」とは言いませんでした。「わからない。そうじゃないといいなと願っているわ。私たちは最善のことをして病気に立ち向かっているわ。」私は自分の母親や友達からたくさんのサポートや助けを受けました。私がとてもとても怖かったけれど、あなたにとっては自分が安定した安全な岩である必要があることを知っていました。あなたがいくら小さくてもあなたの願いを支持する必要があると知っていました。あなたが救急病院で点滴をされるというときに、あなたが受けたくないと言ったことがありました。私は「彼の望みを尊重してください。点滴はしないでください。」と言いました。医師がやってきて、「もし点滴をしなかったら、彼の命は保証できませんよ。」と言ったので、私は「もし点滴をしたら、彼の命を保証すると書いてもらえませんか。」と尋ねたら、医師は「それはできない。」と言いました。私は「できないのですね。それなら彼の願いを尊重してください。」と言いました。私はあなたの話を聞きました。そしてあなたにいつも言っていました。

「あなたが自分の中に強さを作り出すのよ。あなたのハートからここに存在する能力をつくりだすのよ。あなたは戦士だから。あなたはここに存在するということを選択しなければならないの。」あなたがここにいることを選ぶから、臨床的には3回死んでいて、向こうの世界に行ってしまったでしょう。でもここに戻ってきました。あなたがここにいたいというために本当に深い強さと多くの可能性を持っていると言いました。

今日、あなたのことをとても誇りに思っています。あなたは戦士であると同時に日々どうすれば最善を生きられるかを知っているからです。この世界を楽しみ、人生で出会うすべてものから美しさを見出す方法を知っています。それはとても素晴らしいものです。それはあなたのトラウマの一部で、素晴らしい能力です。空に行かなくて本当によかったです。

Hadi  目に涙が浮かんできました。恥ずかしくなりました。ありがとうございました。

   このインタビューをとても楽しみにしていました。

   見てくださった皆さんありがとうございました。

   フェイスブックにコメントや質問をお願いします。

   将来的にまたインタビューをやりたいです。

Hadi&Ditte私たちと一緒に時間を過ごしてくれてありがとうございました。



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