原始反射
原始反射は、子宮の中にいる時から出現し、生後6ヶ月(遅くとも生後12ヶ月までには)消失する反射のことを言います。外界の刺激に対して、脳幹で生じる、自動的で、型が決まっている動きです。神経発達症のお子さんの中には、原始反射が統合されずに、残っているがために様々な問題を抱えている場合があります。私は以下の本を参考にしています。
本間良子、本間龍介(2022)
アメリカ最先端医療の実証 1日2分!脳幹を鍛えれば子どもの才能はどんどん伸びる
青春出版社
灰谷孝(2016)
人間脳を育てる 動きの発達&原始反射の成長
花風社
オスナット・ティテルバウム、フィリップ・ティテルバウム(2009)
自閉症かな?と思ったとき
寝返り、ハイハイ、お座り、歩行からわかること
診断と治療社
加藤静恵(2016)
講演 「視知覚(ビジョン)・協調運動の発達を促す育児支援
〜寝返り、ハイハイの重要性を考えよう〜」
Blythe,S(2023)Reflexes,Movement,Learning &Behaviour
Analysing & unblocking neuro-motor immaturity Hawthorn Press
情動のコントロールが難しい子に改めて身体を動かしてもらったところ、うつ伏せから上体を起こす動きの時に、頭を真っ直ぐ持ち上げられないことが判明したことがあります。
首が安定しない状態では、それ以後の発達に支障を来しても不思議ではないと思います。
原始反射は消失するわけではなく、より高次の脳機能の活動によって目立たなくなります。
新しいスキルが獲得されるとともに原始反射が見られなくなるということは、ボディナミックの観点を取り入れると、原始反射が残っているうちは、新しい運動スキルに関連する心理的なスキルも獲得されていない可能性があるということではないかと考えています。
このため、発達に関する動きを丁寧に行っていくようにしています。
子どもだけでなく、成人でも原始反射が残っている人がいます。アキレス腱がとても固かったり、背中を丸められない人は、恐怖麻痺反射の名残が残っていると考えられます。
私自身も、ボディナミックのワークショップに参加してあるエクササイズをした時、今思えば、モロー反射でなく、そのひと段階前の恐怖麻痺反射の動きが反射的に出てきた経験があります。大人の場合も、発達の動きをしてもらうことがあります。意外とぎこちない動きになる方が多いです。ご自分でも試してみてくださいね。